はなしにならないはなし15

Vol.15 「誰も言わないあなたの口臭」

口臭が気になるという方が増えているようです。
よっぽど親しい間柄でなければ、口が臭いと面と向かって言われることはないと思いますが、人と話をしていると相手が顔を背ける気がするとか、手に息を吐いて嗅いでみると匂うような気がするとか、口臭がするのではと気にしている患者さんが結構います。

口臭の原因には、いくつかの種類があります。
まず食べ物に由来する口臭。食べ物の中に含まれている化学物質が、直接お口の中から、あるいはいったん身体の中に吸収されて発する匂いです。ニンニクやニラなどや、お酒を飲んだ後に発するアルコール臭も、これに含まれます。このタイプの口臭は一時的なものですから、タイミングよく、市販されている口臭予防のガムや薬を使用するか、匂いのもとの化学物質を取り込んでしまうマッシュルームや牛乳、お茶などを一緒に摂ると有効です。

次に、原因として一番大きな割合を占めるのが、お口の中の病気によって起こる口臭です。
お口の中の手入れがうまくできていないと、食べかすは細菌により発酵し、匂うようになります。

またムシ歯や歯周病により患部から血液や膿が出てくると、悪臭を発生します。のどや鼻の病気から匂いが伝わることもあります。

対策としては、病気を治すことにつきます。
歯ブラシやデンタルフロス、歯間ブラシなどで、しっかりとプラークコントロールすることが大事です。また、唾液には、殺菌効果と汚れを流し落とす効果がありますので、よく噛んで唾液をたくさん出すことも重要です。
入れ歯を常に清潔にし、舌に付いた苔(舌苔ぜったいといいます)をガーゼなどで落とすことも必要です。

呼気性口臭といい、肺から吐かれた息に匂いが含まれることもあります。消化器系のバランスが崩れ、胃や腸の働きが落ちたり病気になったりすると、消化がうまく行なわれず腸内で発酵し、ガスが血液を通じて肺から漏れてくる訳です。糖尿病などの慢性的な病気が関係していることもありますので、生活習慣に注意をして、胃腸を健康に保つことが肝腎です。

最後に、自臭症といって、客観的にみて本来は口臭がないはずなのに、自分では、口臭を感じてしまうというケースがあります。ストレスなどが関与していると思われますので、専門医に診てもらうといいでしょう。歯科大付属の病院や一部の大学病院の口腔外科(こうくうげか)には、口臭外来という窓口が設けているところがありますので、受診をお勧めします。

口臭を気にせず、爽やかな息と素敵な笑顔で、会話を楽しみたいですね。