はなしにならないはなし04

Vol.4 歯は名探偵

体が歯の治療痕から、本人と確認されました。あの御巣鷹山での日航機墜落事故でも、身元確認のために群馬県中の歯医者さんが総動員され、大変苦労されたと聞いています。

歯は身体の中で一番丈夫で固い組織ですので、最後まで無傷で残るケースが多く、また治療した部位や方法が担当した歯医者さんにカルテとして最低5年間は保存されていますので、身元の確認に役に立つ場合が多いのです。

我々の診療所にもたまに警察から、身元不明の殺人事件の遺体の写真やレントゲン写真が送られてきます。残念ながら(?)今のところ治療した患者さんでそういう目にあわれた方はいませんので、お役に立てませんでした。職業柄、患者さんのお顔は思い出せなくても、自分が治療したお口の中は結構覚えているものです。

医学の中に法医学という学問があるように、歯科の中にも法歯学という分野があります。上顎と下顎に残った歯全体からはもちろん、1本の歯からも様々なことがわかります。歯の治療痕から本人が特定され、歯のかみ合わせの面の磨耗の状態から年齢がおおよそわかり、歯の大きさから性別が推定されます。また、左右の歯の外側の面の磨耗の仕方から、右利きか左利きかが想像され、歯石の状態や、詰め物・かぶせ物の治しかたと材料などから、その方の社会的地位、食べ物の好み、どんな性格をしていたかなどを推察することができます。

統計的な面でもおもしろいデータがあります。上の歯の真ん中にある前歯の形を、上下逆さまにすると、その人の顔の輪郭になるといわれています。面長の人は前歯も細長く、丸顔の方は丸い形の前歯を持っている確率が高いのだそうです。皆さんもぜひ鏡で見比べてみて下さい。

法歯学のお世話になりたくはありませんが、いざという時(?)のために、日頃の歯のお手入れは欠かせませんね。

追伸:お子さんの歯の矯正の 時期のことで、何人かの方からメールで質問をいただきました。ありがとうございます。前にも述べたとおり矯正は大人になってもできますが、歯の大きさと骨の大きさにずれがあるケースでは、骨の成長を促進したり緩めたりする都合上、小学校に上がるころから始めたほうが有利なことが多いようです。お子さんのお口の中を見て、あごの大きさが著しく小さかったり、上下のバランスが悪いようでしたら、早めの方がいいかもしれません。専門の矯正医で相談してください。