はなしにならないはなし06
Vol.6 デザートは最初に
ムシ歯と歯周病は、様々なバイ菌と歯に付いた食べかすが原因で起こります。どんな汚れも食後にしっかりと歯磨きをして落とすことが大切ですが、食べ物の成分・性状によっても大きく左右されます。
まず一番問題な成分は、砂糖(ショ糖)です。前にも述べましたが、お口の中のバイ菌は砂糖を利用して歯に付着できるようなネバネバした成分を作り出し、歯の表面に居座り悪さをするのです。逆に言うと、もし砂糖を含まない食事をすれば、ネバネバができず唾液に流されて、バイ菌は歯の表面に留まる事ができないのです。
今では人権上問題ですが、かつてオーストラリアで囚人を使った実験があったそうです。囚人を二つのグループに分け、片方の食事には砂糖が入った通常のものを出し、もう片方には砂糖のまったく含まれていない食事を与え、両方とも一定期間まったく歯磨きをさせなかったそうです。すると、砂糖が入ってるグループの囚人には当然ムシ歯と歯周病が発生しましたが、砂糖なしのグループのムシ歯と歯周病の発生率は極めて低かったそうです。
そういえば、本来こうした病気にあまりならないはずのペットの犬や猫が、飼い主の人間と同じ食事をしたがために、最近ムシ歯や歯周病が増えているという話を聞いた事があります。砂糖の手に入りにくかったころの食事が、健康上はいいのかも知れません。
食べ物の性状では、歯に付きやすいクッキーのような食べるとベトベトするものは良くありません。逆に、繊維質の多い食べ物は自浄性が高くお薦めです。できれば食べる順番にも気を使い、歯につきやすい性状のものを先にいただき、繊維性のものを後で食べた方が、食後の歯に付着する汚れの量は減ると思います。小さな事のようですが、毎日毎日の積み重ねが後で大きく違ってくるのです。
そういう意味で、最後に繊維質の多いお新香をポリポリと食べ、フッ素の含まれている日本茶でブクブク口をゆすぐのは、お行儀は悪いですが口腔衛生的には正解です。
フランス料理のフルコースも、デザートをまずいただき最後にサラダを食べるといいのですが、それではせっかくのご馳走がだいなしです。
食後にしっかりと歯磨きをして、おいしい料理をおいしくいただきたいですね。