はなしにならないはなし11

Vol.11 キシリトールはムシ歯を防ぐか

最近、キシリトールが含まれているガムや歯磨き剤が目につきますが、本当にムシ歯予防に効果があるんでしょうか?

ムシ歯になりやすい砂糖の代りに、今まではソルビトールやパラチノースといった甘味料が多く使われていました。
これらの糖類は、甘みは砂糖の半分程度ですが、ムシ歯の原因となるミュータンス菌にとっては、分解しづらく、ムシ歯になりにくいという効果があります。

しかしながらキシリトールには、一歩進んでムシ歯を予防する様々な作用があります。キシリトールは自然界に存在する糖分の一種で、イチゴやカリフラワーなどの果物や野菜に含まれています。しかし量が非常に少ないため、白樺やトウモロコシなどの天然素材から人工的に作り出しています。キシリトールは食べたあと腸で吸収するのが遅く、血糖値が上がりにくいため、糖尿病の患者さん用に使われていました。

しかし最近では、フィンランドを初めとして研究が進み、ムシ歯予防剤として脚光を浴びています。その効果として、まず第一にミュータンス菌の繁殖を抑えることが上げられます。ミュータンス菌の数が減れば、ムシ歯の発生も低く抑えられるわけです。

次に、甘みが砂糖と同じ位ですので、口の中で味わった時に唾液が多く分泌されるという作用があります。唾液がいっぱい出れば、細菌が産出し歯のカルシウムを溶かしてしまう酸を、中和する効果があるのです。また、唾液の中のカルシウム分や、ガムや歯磨き剤に添加しているフッ素・カルシウムなどと結びついて、ムシ歯で壊された歯の表面を修理する作用もあります。

こうしてみるとキシリトールはムシ歯予防の特効薬のようですが、気をつけなければいけないこともあります。まず、甘みの成分としてキシリトールの含有量が50%以上のもので、残りの甘味料も砂糖ではなくソルビトールやパラチノースなどが使われているものでないと効果はありません。

また、キシリトールはあくまでもムシ歯予防の補助的な手段としてして考え、規則正しい食生活や毎食後の歯磨き、歯医者さんでの定期的検診などは欠かすことができません。

「歯磨き後にキシリトール入りのガムを噛んでムシ歯を予防しよう。」というのは本当だったのです。